1-2 The Big Bran Hypothesis

The Big Bran Hypothesis(Season 1, Episode 2)

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"Oh, was that a sarcasm?" -- cartoon by terubo



笑いのツボ(文化の知識で笑いがダブル!)

今回のエピソードで、文化的な背景がが分かると、もっとユーモアが分かるだろう!という場面を選んでみました。エンジョイ!

言っていること、思っていることが正反対?

今回のエピソードでは、sarcasm(サーカズム)で大笑いするシーンが多々ありましたので、このサーカズムに関連するものを拾ってみました。

日本語でサーカズムは「嫌味」とか「皮肉」と訳されていて(日本語Wikipedia)、相手を侮辱するなどマイナスなイメージが強く、決して笑える内容ではありません。

さらに、サーカズムは、次のように使われます:

その発言が、表面的にはその場に合ったものだが、意味合いは逆を示している。

"on the surface appear to be appropriate to the situation, but are meant to be taken as meaning the opposite"

"Sarcasm", 英語Wikipedia

では、なぜビッグバンセオリーでサーカズムが笑えてしまうのか?というと、シェルドンは、言葉の表面的な意味しか理解できず、本来の裏の意味が全然伝わらないのです。 なので、シェルドンに対しての侮辱的なサーカズムは、彼には全然効力がないのです。この**「普通の人だったらわかるのに、天才的シェルドンにはわからない」**というギャプに、思わず吹き出してしまいます。

サーカズムの文化的要素は、アメリカと日本では、サーカズムの形が異なるため、日本の皆さんは、そもそもサーカズムに気がつかない場合があります(注1)。要するに、皆さんも「シェルドン」になってしまう可能性があるので、ここでアメリカ式サーカズムのパターンを掴んでもらえればグレートです!

このエピソードで笑っちゃった、サーカズムのシーンはこちらです:

シーン(11:08):夜中にペニーの部屋を片付けたため、睡眠不足で眠たそうにしているレナードが、ぐっすり眠れてすっきりとした顔で起きてきたシェルドンに対してサーカズムを言った。

Sheldon:"Good morning!"

Leonard:"G'morning."

Sheldon:"I have to say, I slept splendidly. Granted, not long, but just deeply and well."

(次がサーカズム)

Leonard:"I’m not surprised. A well known folk cure for insomnia is to break into your neighbour’s apartment and clean."

Sheldon:"Sarcasm?"

Leonard:"You think?"

(笑)

テルミのプチ解説:レナードの「睡眠不足の解消には、お隣さんのアパートに忍び込んで掃除をするという療法があるそうだからね。」という発言は、ペニーのアパートが汚すぎて眠れなかったシェルドンに対しての皮肉なのですが、「それってサーカズム?」と聞くシェルドンには、いまいちストレートに皮肉が伝わってない印象ですね!

シーン(11:26):シェルドンは、ペニーの部屋に忍び込んだことはとりあえず良しとして、結果的に彼女の部屋が綺麗になったことを評価している。それに対してレナードが次のサーカズムを発した(ここでは、サーカズムが二つ連チャンで出てきます)。

Sheldon: "Granted, my methods may have been somewhat unorthodox, but I think the end result will be a measurable enhancement of Penny’s quality of life."

(次がサーカズム)

Leonard:"You know what, you’ve convinced me, maybe tonight we should sneak in and shampoo her carpet."

Sheldon:"You don’t think that crosses a line?"

(次もサーカズム)

Leonard:"Yes! For God’s sake, Sheldon, do I have to hold up a sarcasm sign every time I open my mouth."

Sheldon:"You have a sarcasm sign?"

Leonard:"No, I do not have a sarcasm sign."

(笑笑)

テルミのプチ解説:レナードが「納得!じゃ今夜は彼女の部屋にまた忍び込んでカーペットをシャンプークリーニングしよう!」とサーカズムを言ったのに対して、シェルドンはその表面的な意味だけを理解して、「でも、それってやりすぎじゃない?」と疑問視(人の部屋に忍び込むことはいけない、という裏の意味が全然伝わってない様子)。

このシェルドンの鈍感ぶりにレナードは思わず「こりゃサーカズムだよ。サーカズムを言うたびに看板を掲げなくっちゃいけないのか?」とさらなるサーカズムに対して、シェルドンは「えっ?サーカズムの看板ってあるの?」と巻き返す。シェルドン、お見事!

そして、サーカズムの名シーンは、これ↓

シーン(12:48):ペニーがシェルドンとレナードの部屋に、カンカンになって入ってくる。そしてシェルドンが「ペニー。君のいびきはお医者さんに診てもらったほうがいいよ。」という発言に対して、ペニーがシェルドンにこうサーカズムを言った。

Penny: "And what kind of doctor removes shoes from asses?"

Sheldon: "Depending on the depth, that’s either a proctologist or a general surgeon. (Leonard holds up a sign reading “Sarcasm”)"

Sheldon: "Oh!"

Penny: "God!"

(爆笑)

テルミのプチ解説:ペニーの「じゃ、お尻に入った靴を取ってくれる医者は?」は、本当は「ふざけんな、ぶっとばすぞ!」という意味で言ったのに対して、シェルドンは、またもや表面の意味だけを理解して、「んー。深さにもよるけど、肛門科医か外科かな?」と真面目に回答をする。これを見かねて、レナードはサーカズムの看板を掲げる。それを見て、ようやくシェルドンがサーカズムに気ずく、というコミカルなシーンでした。



ジョークは3拍子で!

今回のエピソードでは、ジョークの笑いを増す手段として「笑いの3拍子」が、いくつか使われています。文化的な要素ではありませんが、これが分かると、アメリカンジョークの仕組みがよくわかってきますので、おまけでご紹介します。

「笑いの3拍子」は、ジョークの中で事例・説明をするときに3つの例を出し、最初の二つは想定通りの例をだし、三つ目に想定外の例を出すという仕掛けです(びっくり感!)。おかしなことに、これが、二つだけでも、四つでも、面白くなくなっちゃいます。

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では、「ジョークの3拍子」がつかわれている幾つかのシーンを紹介します:

シーン(4:28):シェルドンとレナードが、重たい家具を、一階から運ぶことを議論している。

Leonard:"I guess we'll just bring it up ourselves"

Sheldon:"I hardly think so."

Leonard:"Why not?"

(ここからが3拍子)

(1)Sheldon:"Well, we don't have a dolly"

(2)Sheldon:"or lifting belts",

(3)Sheldon:"or any measurable upper body strengths."

テルミのプチ解説:重たいものを運ぶ手段として、「dolly」(キャスター付きの手押し車)、「lifting belts」(ベルト付きのリフト)、とくると、次も「道具」を想定しますが、ここでシェルドンは、「any measurable upper body strengths」(測定可能な上半身の筋力)と、ハシゴをちょっと外しました。このプチびっくり!で思わず笑ってしまいます。

シーン(7:32):ペニーの部屋でシェルドンがお片づけを始める。それに対してレナードが、「以前住んでいたお隣さんの時は片付けなかったよね!」と問う(以前のお隣さんはトランスベスタイトー服装倒錯者ーでもあった)。

Leonard:"When the transvestite lived here, you didn't care how he kept the place"

Sheldon:"Because it was immaculate."

Sheldon:"I mean, you opened that man's closet, it was left to right..."

(ここからが3拍子)

(1)Sheldon:"evening gowns"

(2)Sheldon:"cocktail dresses",

(3)Sheldon:"and his police uniforms."

テルミのプチ解説:シェルドンが以前のお隣さんで、トランスベスタイト(服装倒錯者)の男性の押入れに陳列していた洋服の説明をしています。まずは「evening gowns」(イブニングドレス)、そして「cocktail dresses」(カクテルドレス)、とくると、次も「女性用のドレス」を想定しますが、ここでシェルドンは、「police uniforms」(警察のユニフォーム)と、「えっ!」としたイメージが湧いちゃいますよね。

シーン(9:30):夜の夜中にシェルドンがペニーの部屋でお片づけをしている。それを発見してレナードは「なんで、こんなことをしてるんだ?」とシェルドンに聞く。

Leonard:"Are you insane?"

Leonard:"You can't just break into a woman's apartment in a middle of the night and clean."

Sheldon:"I had no choice."

Sheldon:"I couldn't sleep knowing that... "

(ここからが3拍子)

(1)Sheldon:"just outside my bedroom, was our living room,"

(2)Sheldon:"and just outside our living room was that hallway",

(3)Sheldon:"and immediately adjacent to that hallway was (snif, snif) this."

テルミのプチ解説:ここでは、3つの事例をあげるのではなく、説明の中で3拍子が登場します。シェルドンが、どうしても夜の夜中ペニーの部屋に忍び込んでお片づけをしなくてはいけなかった理由として、「①僕のベッドルームの外にはリビングルームがあり、②その隣にこの廊下があり、③そしてそこに隣接してこのざまだ。それを考えたら全然眠れなかった!」

ビッグバンセオリーでは、この「3拍子」がよく使われるので、このリズム感をつかんで、笑いを倍にエンジョイしてください。


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番組で使われた単語と表現

今回番組中に紹介された、ちょっと珍しい単語や表現を幾つか拾いました。日常に使えるかわかりませんが、参考までに!

  • Minimum wage(1:09):法律で定められている最低賃金。

  • "Oh gravity. Thou art a heartless bitch." (5:50):シェークスピア的表現を応用したもの。ここでは「あー!重力。おまえはなんと情けがない女。」(テルミのざっくり翻訳)

  • "Great Ceasar's Ghost!" (6:31):シェルドン式のOMG!(Oh My God!)

  • Garage sale (6:57):ガレージセールは、引っ越しするとき家具などの不要になったものをガレージや庭先などで売ること。

  • "You don't have to live like this. I'm here for you." (8:13):心理セラピストのセリフ。「こんな状況で生きる必要はない。僕がここにいて、君を助ける。」の意味(テルミのざっくり翻訳)

  • Jury of your peers(9:52):アメリカの陪審制度の意味。有罪か無罪かは、選ばれたピア(同等の人たち)によって決められる制度。もちろんここでシェルドンは「僕と同等の人間なんていないよ。」とコメント(^^)

  • "If you have time to lean, you have time to clean" (10:45):ここでは「そこにぼーっと立ってる暇があるのならば、掃除をする暇もあるはず」(テルミのざっくり翻訳)この表現のポイントは、「lean」と「clean」が韻を踏んでいること。

  • "Hold on honey, men at work" (19:55):「ちょっとおまち。俺らはいま忙しいから。」(テルミのざっくり翻訳)。この表現のポイントは女性を「Honey」と呼んでいること。最近では、一般女性に対してこのような表現は軽蔑的とも受け止められる場合がある。


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番組で紹介されたサイエンス

今回番組中に紹介されたサイエンスです。ビッグバンセオリーをより楽しく観れますように!


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エピソードを見る

このエピソードをご覧になりたい場合は、こちらのリンクから見ることができます(注2


米Amazon.comに飛びます

こちらは有料サイトです(登録などが求められます):

こちらは無料サイトです。いつまで提供されるかはわかりませんので、アンチウィルスを使うなど自己責任でご覧ください。:


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シェルドンのT-シャツ

シェルドンが今回着ていたT-シャツです。ご購入されたい場合は、オンラインショップで、購入できるサイトを紹介しています。


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テルミのあとがき

今回選んだシーンは、サーカズムとユーモアの矛盾理論(ジョークは3拍子で)を主に取り上げました。

とくにサーカズムで笑えるようになるためには、そもそもサーカズムがどこで使われているのかが分かることが鍵になり、本来何を言わんとしているかがわかって、初めてサーカズムが理解できます。これには高度な英語力が必要とされるのは間違いありません。

ビッグバンセオリーではサーカズムがたっぷり含まれるので、皆さんの英語力の向上に是非笑ってつなげてください。

それでは、次回まで!

マハロ!

テルミ

Vulcan Salute

"Live long and prosper." Vulcan Salute -- by terubo


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注釈


注1: ウェブ上では「日本にはサーカズムはない」という意見と、「日本とアメリカのサーカズムは違う」という意見が多く見かけられます。興味のある方は、こちらを参照してください: Sarcasm in Japanese

注2: ブログで紹介されている無料ビデオサイトは著作権違反のコンテンツである場合もありますので自己責任でご覧になってください。

注3: ブログ内で利用している画像の多くは、有料コンテンツFotolia、無料コンテンツOpenClipartWikimediaCommonsを利用しています。感謝です!


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